(望郷)
父が生きていれば今年がちょうど生誕100年目にあたる
海を知らない海なし県の群馬人のその父が妻子を残し汽船に乗って
ジャワ島まで辿り着いたのはもう70年も前のことだ
ジャワ島のスラバヤという港で終戦をむかえた父は
1年以上バリー島バタンバイやジャワ島スラバヤで連合軍の労役に服した
66年後戦後生まれの息子の私はその島の土を踏んだ
紺碧の空と白波が押し寄せる海岸、ヤシの木立や田園風景、村々の営みなど
ここに来てそれらを見るだけでよかった
父の一途な望郷の念その結晶が自分となったことを感じるだけでよかった
インドネシア バリ島 (2013年5月)
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