ベネルクス③ベルギーにて ― 2015/12/08 14:21
ベルギーといえばナポレオンの最後の戦いの地ワーテルロー,一次大戦ではじめて毒ガス兵器が使われた地イーペル,二次大戦における撤退作戦の地ダンケルクなど戦争にからむ地名が記憶として留めている。
ほかにはフランダースの犬や名探偵ポアロ位しか思い浮かばない
アントワープは15世紀後半毛織物の交易で栄えた街であるとの説明があった
また1300年代はヘント、1400年代はブルージュ、1500年代はアントワープと貿易の拡大に伴い繁栄の女神は移っていった
ほかにはフランダースの犬や名探偵ポアロ位しか思い浮かばない
アントワープは15世紀後半毛織物の交易で栄えた街であるとの説明があった
また1300年代はヘント、1400年代はブルージュ、1500年代はアントワープと貿易の拡大に伴い繁栄の女神は移っていった
1.アントワープにて
英作家ウィーダはベルギーに1カ月滞在している間に4つの短編を書いた。そのうちの1つクリスマスのはなしとして書かれたのが「フランダースの犬」である。1908年ウィーダはイタリアで死去したことをきっかけにして日本語版が刊行された 日本語版ではネロはキヨシ、パトラッシュはブチと訳されたそうである。
ノートルダム大聖堂の広場にあるネロとパトラッシュの像
英作家ウィーダはベルギーに1カ月滞在している間に4つの短編を書いた。そのうちの1つクリスマスのはなしとして書かれたのが「フランダースの犬」である。1908年ウィーダはイタリアで死去したことをきっかけにして日本語版が刊行された 日本語版ではネロはキヨシ、パトラッシュはブチと訳されたそうである。
ノートルダム大聖堂の広場にあるネロとパトラッシュの像
フランダースの犬は日本では大変有名であるが、現地のひとびとにはほとんど関心がない。その理由のひとつには原作を読んでみれば理解できる。以下原作の訳文より
「フランダースはあまり目をたのしませる風景がありません。とくにアントワープのまわりは、ばっとしないといえるでしょう。麦畑に菜の花畑、牧場や耕作地が、だだっぴろい平地にならんでいるだけです。せいぜい絵になるとするば、かなしげな鐘の音をひびかせるやせっぽっちの灰色の塔とか、落ち穂の束をかついだ人や薪の束をはこぶ木こりが野原を横切る姿ぐらいのものでした。どこを見てもあまり変化がなくたいくつで美しいものではありません」このように書かれたら地元のひとびとは好い思いはしなかっただろう
アントワープの語源とは
古代ひとびとを苦しめたスヘルデ川に住む巨人アンティゴーンをローマの戦士ブラボーが退治したとの伝説に由来すると言われている 英雄ブラボーがアンティゴーンの手首を切り落としスヘルデ川に放り投げる像がマルクト広場の市庁舎の真ん前にある アント(手)ワーペン(投げる)ということだ 西洋では手首を切り落とす罰の風習があるようだ
「フランダースはあまり目をたのしませる風景がありません。とくにアントワープのまわりは、ばっとしないといえるでしょう。麦畑に菜の花畑、牧場や耕作地が、だだっぴろい平地にならんでいるだけです。せいぜい絵になるとするば、かなしげな鐘の音をひびかせるやせっぽっちの灰色の塔とか、落ち穂の束をかついだ人や薪の束をはこぶ木こりが野原を横切る姿ぐらいのものでした。どこを見てもあまり変化がなくたいくつで美しいものではありません」このように書かれたら地元のひとびとは好い思いはしなかっただろう
アントワープの語源とは
古代ひとびとを苦しめたスヘルデ川に住む巨人アンティゴーンをローマの戦士ブラボーが退治したとの伝説に由来すると言われている 英雄ブラボーがアンティゴーンの手首を切り落としスヘルデ川に放り投げる像がマルクト広場の市庁舎の真ん前にある アント(手)ワーペン(投げる)ということだ 西洋では手首を切り落とす罰の風習があるようだ
アントワープはルーベンスの故郷である 塔がかたびっこのノートルダム寺院には「フランダースの犬」でネロとパトラッシュが悲劇的な最期を遂げたルーベンスの傑作が掲げられている
有名な画家を夢見たネロは祭壇が「天にのぼる聖母マリア」のまえでひざまずいた
聖歌隊席の両側に置かれているカーテンのかかった二枚の絵を見たいとの願いをけっして諦めずに心に抱いていた
ネロがその願いをかなえられたのはクリスマスイブの晩、コンテストに優勝できなかった失意のネロは雪の中深夜のミサを終えた大聖堂へようやく辿り着き暗闇の中で二枚の絵のカーテンを外しておいた
ネロとパトラッシュが二枚の絵を最後に見られたのは雲間から顔を出した月の光が窓から射し込み二枚の絵を照らしたからです
十字架にのぼるキリスト
ネロとパトラッシュが二枚の絵を最後に見られたのは雲間から顔を出した月の光が窓から射し込み二枚の絵を照らしたからです
十字架にのぼるキリスト
十字架からおろされるキリスト
クリスマスの朝が明けてやってきた司祭は石の床につめたく横たわったふたりを見つけました
なぜこの物語は視聴者の涙をさそい悲劇でおしまいになっちゃうのかよく意味がわからない
ハッピーエンドがよかったが・・・
アントワープの街角で遭ったアロワとパトラッシュ
その結末の意味を解く鍵は作者の以下の言葉にあるのではなかろうか
「死はふたりにとって、ながくいきるよりも情け深いものでした 死は愛に忠実だったパトラッシュを 愛がむくわれないこの世から連れ去り 疑うことなく神を信じたネロを 信じても実現しないこの世から連れ去りました」
2.ブルージュにて
ベルギー屈指の美しい水の都と言われるブルージュの写真です
聖母教会が見える水鳥たちが群れる水辺
鐘楼が見えるボート乗り場
礼儀正しく白鳥が泳ぐ美術館脇の運河
レリーフが商売を現すギルドハウス
レリーフは乳の出なくなった雌牛が革製品に加工されるまでを現しています
年号を記した17世紀の建物
年号を記した17世紀の建物
年号を記した心棒の金具は壁を貫き内部の梁に固定されレンガの壁を支えています
3.ゲントにて
今回の旅行で最も未知の街ゲント ブルージュから車で約1時間の距離にありその名は川の合流点を意味するガンダ(ケルト語)に由来しているという
路地裏でペイントの女性が出迎えてくれた
街にはあたりまえの広場がある
観光客目当ての出店が立つ
通りにはちょっと古めかしい路面電車が走り
その通りの突き当たりには伯爵の古城がある
ブリュッセルだけではないぞといきむ軒先の小便小僧
河岸に立つ巨大な建物は生ハムの製造・販売で活躍している
レイエ川の東岸にギルドハウスが軒をつらねその先で聖なる橋が架かっている
その名は聖ミカエル橋 守護聖人ミカエルが悪魔を退治している
毛織物で繁栄した当時を偲ぶる教会、鐘楼、大聖堂が一堂にのぞむ
4.ブリュッセルにて
ベルギーが生まれたのは1830年で185歳の若い国である 土地は平地と丘陵であり特徴があまりあるものではない 北のフランドルと南のワロンでは人種や言語が異なっていても一つの国として成り立っている理屈が分からない 人種は北がゲルマン系南はラテン系に分かれ名探偵「ポアロ」は南のラテン系の人物として描かれているとのことである
北のフランドル地方は油絵の具が創られた当時ヨーロッパの芸術の中心地として発信していたそうである
その首都ブリュッセルで最初に見たものは
店先に並んだワッフル
それと観光客が集まっていた小便小僧の像
マグリッド美術館へ行く
混沌とした世の中による不安むしゃくしゃをマグリッドの作品にぶっつけたいと思った
シュールレアリズムこそ混沌世界によって蝕まれたこころの癒しだとの個人的こじつけ
エリザベス王女の像から見下ろしたブリュッセルの街並み
左右対称的な景観をつくる芸術の丘
その続き
ここでも階高の違うビルが並ぶ
ここでも階高の違うビルが並ぶ
マグリッド美術館を出たら突然の雷雨
雨に濡れた中央駅
グランプラス世界一美しいと評判の景観を楽しむ
ギルドハウス
異なる階の高さがギルド間の対抗心が窺える
ブラバン公爵の胸像が並ぶブラバン公の館
ライトアップされた市庁舎と石畳の広場
この2時間後パリは同時多発テロに見舞われた
この2時間後パリは同時多発テロに見舞われた
ぶちのベルギーが国として成り立つそのひとつは個々の自由を尊重するということなのかな?? 景観の統一ということより建物の高さや階の高さがまちまちであっても個々を尊重するそういうことなのではないかと考えた
ベネルクス ベルギー (2015年11月)
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