新疆ウイグル(14) クズルガハ石窟 ― 2012/04/27 09:25
クズルガハ石窟はクチャ市街から北西4キロと亀茲石窟の中で一番近い所にある遺跡である。54窟が発見されており規模は大きいとは言えない。開削時期は紀元6~8世紀で窟に描かれた供養者像や亀茲文題記などからここは亀茲国王室の寺院であったと考えられている。
○第11窟は中心柱窟で主室窟頂に太陽神、ガルダ、風神などが描かれた天象図が残る。車に乗った太陽神はギリシャの影響を示すと言われる。菱形の中に描かれた本生図も残っている。
○第14窟は中心柱窟入口の上の弥勒交脚菩薩像、後室の壁に描かれた仏陀火葬図が見える。
○第16窟は大像窟で高さ6メートルあり天井は台形である。大仏のあった壁に光背の影跡が見える。
○第30窟は中心柱窟で後室頂部に8体の飛天が描かれたている。それぞれ楽器を奏で舞っている。飛天は天女でなく筋肉質の男性像であるようだ。後室に涅槃台のみ残る。
○第32窟は方形窟で天井は三角隅持ち送り式(ラテルネンデッケ)天井である。月にウサギが描かれている絵があるが珍しい。
○第27窟、28窟は僧坊窟で30人の僧を収容できたという。ベッド、窓、釜戸跡、蔵書棚などが見える。
この石窟で興味を引いたのは天象図と壁面に広がった菱形の枠の中に描かれた本生図である。また後室に描かれた火葬図(炎だけであったが)を見たのはここが初めてであった。なお色で言えば緑である。
中国 新疆ウイグル (2011年10月)
新疆ウイグル(13) エイティガール寺院の身清め池 ― 2012/04/26 11:39
カシュガルに新疆ウイグル地区の中心的な存在であるイスラム寺院「エイティガール寺院」がある。大門をくぐり正面にそびえる礼拝所へ歩いて行くと右手に大小二つの泉がある。中国語で身清め池と案内があり身を清める池であることが分かる。
(落ち葉が浮かぶ身清め池)
秋の静かな昼さがり実際に池の水で身を清めている信者の姿は見えなかった。近くに公衆トイレがあり、中に入るとタイルの壁に水道の蛇口が一列に並び蛇口に合わせ箱の椅子が並べられていた。信者はここで箱の椅子に腰かけて水道の水で身を清めるようである。
仏教の寺院では蓮池、宝池、阿弥陀池などと呼ばれる池が、神社では神池と呼ぶ池が拝殿の前に設けられている。宗教により池の役割は異なるが泉が重要な施設であることは共通している。
中国 新疆ウイグル (2011年10月)
新疆ウイグル(12) 陵墓 ― 2012/04/24 17:10
香妃の墓=アクバル・ホジャ・マザール)
カシュガルにバラの花の庭園と緑のタイルが映えるいかにも王が愛する妃のために建てたと思わせる「香妃の墓」と呼ばれる陵墓がある。
正規の名はアクバル・ホジャ・マザールで16世紀イスラム白帽派の指導者の一族5代72人が眠る墓所であるが、1874年に大改修が行われ現在の華麗な姿になったという。香妃はこの地から清の乾隆帝に嫁いだ。家を出た者が死後実家の墓に葬られることがないのが道理であると思われるが、墓所を華麗な姿に改造し一族の墓に埋葬した清の皇帝の思惑は如何であったものだろうか。と考えた。
(モスクに置かれた棺)
モスクの隅に棺が無造作に転がっていた。死体は清められ白い布で3回くるみ白い袋に入れこの棺に安置されモスクに運ばれ葬儀が行われる。但しモスクで葬儀をするのは男性だけで女性はモスクに運ばれることはない。(女性は自宅で行われると聞く)
(陵墓に隣接する墓群)
墓は土葬で北枕にして埋葬されるようだ。墓は単人墓と家族墓があるが、偉人を祀る陵墓の周囲に墓群が開かれることが多いようである。
陵墓のドームの下で香妃の棺は右の奥に置かれていた。妃はいつも砂棗の匂いを漂わせていたそうである。
中国 新疆ウイグル (2011年10月)
新疆ウイグル(11)ラグメン ― 2012/04/21 23:44
新疆ウイグル(9)カラクリ湖 ― 2012/04/14 17:05
新疆ウイグル(6)砂棗 ― 2012/03/27 23:35
新疆ウイグル(5) タリム砂漠公路防護林 ― 2012/03/24 23:54
タリム砂漠公路を行くと自転車に乗った男が目にとまった。こんな砂漠の砂漠の真ん中に自転車とは何故?と直感するほど場違いな光景であった。
1995年10月1日に開通した全長522キロのタリム砂漠公路をバスで一日かけて北から南へタリム砂漠を横断した。
車窓から砂漠の風景を楽しめるだろうと期待してやって来たが、防砂固砂のための防護林が出現して左右の見晴らしを遮り事前の想定はやや裏切られる結果になった。
全長522キロのうち砂漠地帯は466キロ、そのうち436キロが防護林で護られている。防護林は紅柳(タマリスク)、砂棗(すななつめ)、梭梭(そそ)で構成され、4キロ毎に設置された総数108基のポンプ小屋から地下水が供給され生命維持されている。
(給水のため張り巡らされた黒ホース)
(青い壁に赤い屋根のポンプ小屋)
手前の部屋が小屋を守る職員の居室、奥の観音開きの部屋がポンプ室である。
職員は四川人の夫婦が多く雇われているようだ。先の自転車に乗った男はこの職員でポンプ小屋を中心にして前後2キロ、全長4キロの防護林の点検のため自転車で往来しているのだ。
(ソーラや風力も活用した最新システムの6号基地)
広大なタリム砂漠を二分する砂漠公路とそれを守る防護林システムを
目の前にすると巨大なものに挑戦し実現しその果実を手に入れるという暴れ竜のような中国というもののエネルギーを直感することができる。
中国 新疆ウイグル(2011年10月)
新疆ウイグル(4) トウガラシの乾燥 ― 2012/03/19 06:05
新疆ウイグル(3) お嫁さんとお姑さん ― 2012/03/15 12:24
クチャの家庭を訪問した。まだ嫁いで間もない若い
嫁さんとお姑さんがナンを焼いてご馳走してくれた。
夫が窯の中で薪を燃して窯を熱して焼く準備をする。
窯の形はウズベキスタンで見たものとまったく同じだ。
窯の傍らで嫁さんとお姑さんはねかせておいたナンの
生地をちぎって両手で伸ばしてナンの形を整える。
手前の道具はナンをたたいて模様をつける。
(お嫁さんとお姑さんの共同作業)
ナンの生地を窯の内壁に張り付けるのはお姑さんの役目だ。
鍋の蓋に布を巻きつけたような丸い台にナンの生地をのせて
すばやく熱い窯の壁にナンをバッと張り付ける。
焼き上がったらひっかき棒でひっかけて窯から取り出して
完成。
熱いうち手でちぎって口に入れるとナンの焼けた匂いと
パンの素朴な味がとても気に入った。子供のころおふくろが
打ってくれたうどんを思いだし懐かしくもありありがたく
もあった。
(新疆ウイグルのナン)
ところでウズベキスタンのパンを以前紹介したが
だいぶ形もボリュームも味も違いました。
(ウズベキスタンのパンを焼く窯)
中国 新疆ウイグル(2011年10月)
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