良寛禅師草庵(平成31年4月)2019/05/10 20:04

五合庵
良寛禅師草庵(五合庵)

      索々五合庵    索々たり五合庵
      室如懸磬然    室は懸磬のごとく然り。
      戸外杉千株    戸外には 杉 千株
      壁上偶数篇    壁上には 偈 数篇
      釜中時有塵    釜中 ときに塵あり
      甑裡更無烟    甑裡 さらに烟なし
      唯有東村叟    ただ 東村叟ありて
      頻叩月下門    しきりに叩く月下の門。

乙子草庵
良寛禅師草案(乙子神社草庵)

      寄曲盲人       曲りの盲人に寄す
     国上下兮乙子森    国上の下 乙子の森
     中有草庵寄残年    中に草庵ありて 残年を寄す。
     朱門黄閣懶久住    朱門黄閣 久しく住むに懶く
     清風明月似有縁    清風明月 縁あるに似たり。
     偶逢児童打毬子    たまたま児童に逢うて 毬子を打ち
     更乗逸興頻成篇    さらに逸興に乗じ しきりに篇を成す。
     他日秀才相問取    他日 秀才 問取せん
     安住旧時痴兀禅    いづくにかある 旧時の痴兀禅と。

良寛禅師草庵(乙子神社ない)

     生涯懶立身     生涯 身を立つるに懶く
     騰々任天真     騰々 天真に任す。
     嚢中三升米     嚢中に 三升の米
     爐邉一束薪     爐邉に 一束の薪。
     誰問迷悟跡     たれか問わん 迷悟の跡
     何知名利塵     なんぞ知らん 名利の塵。
     夜雨草庵裡     夜雨 草庵のうち
     雙脚等閒伸     雙脚 等閒に伸ぶ。
      沙門 良寛書

     安散都久比 無閑比能遠可耳     朝づく日 向かひの岡に
     左遠志可堂里 閑美奈川幾      小牡鹿立(て)り 神無月
     之久礼能安女爾 奴礼都ゝ堂天里   時雨の雨に 濡れつつ立てり

良寛禅師浮御堂
良寛禅師浮御堂

         堂内石地蔵尊
良寛禅師(良寛堂)

   以耳之部尓加王羅    いにしへにかわら
   奴毛乃波安利楚美    ぬものはありそみ
   東武閑意尓美遊流    とむかひにみゆる
   散東之志万難利     さとのしまなり

私のこころにとまった良寛禅師の詩
(人間ともあろうものが、なんでお互いに相手を殺しあっているのだ。)
   鳶巣喬木顛       鳶は 喬木の顛に巣くい
   黄雀聚其株       黄雀は その株に聚まる。
   鳶使雀啄鷇       鳶は 雀をして鷇を啄ましめ
   雀憑鳶護烏       雀は 鳶に憑って烏より護る。
   此物猶尚爾       この物 なおなお しかり
   両箇互遞扶       両箇 互遞に扶く。
   如何其為人       いかんぞ それ人となりて
   彼此作相誅       彼此 相誅することを作す。


               うらを見せおもてを見せてちるもみち‘

        新潟県 燕市 出雲崎町 (2019年4月)


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