イギリス小紀行⑪さよならメアリー2014/07/19 21:33

文通が盛んな中学生時代
雑誌で紹介されていたなかから
イギリスの少女メアリーを選んで手紙を出した
でもいくら待っても返事は来ませんでした
返事が来なかったことが 西洋へのこだわりのひとつとして
心の深いところに沈みました

メアリーはどんな少女であったのか
そして西洋のイギリスとはどんなところなのか
その後度々そんな思いが心の底から泡となって浮上しました

メアリーは牧場地が広がるイングランドの田舎で暮らした
4月には一面菜の花が咲いたであろう
イングランド 菜の花畑

そんな田舎のメアリーの家はこのようであったに違いない
ボートン・オンザ・ウォータの家

きっと窓辺には花が育てられていたと想像できます
ロンドン

メアリーが健在であれば70歳に届く頃だ
もうすっかりおばあちゃんになっているだろうな
街かどでこんなさびしいランチをとってはいないだろうな
ウィンダミア湖畔のランチ

ロンドンの街をどんなに歩いていても
想像だけのメアリーに出合うことはない
ロンドン

しかしこの国に来てこの街を歩き沈殿していた泡の素が消え去った
づっと灯し続けていた炎が燃やし終えたような清々しさ
さよならメアリー
ロンドン

夕暮れ テームズに霧闇が訪れた
さよなら ロンドン
ロンドン

同じ島国であるがこの国は何事も排他的で純度を高める方向に収束する日本とは異なる 
異質なものを受容し混沌のるつぼの中から力を生むしくみが備わっている
その混沌の働きが強さの源でありもろさの源でもある

              イギリス (2014年4月)
              イギリス小紀行 完